2012年01月29日

東川 篤哉 「放課後はミステリーとともに」



「謎解きはディナーの後で」で一躍有名になった東川の短編ミステリー小説だ。東京の国分寺を舞台とした学園ものでユーモア溢れる作品となっている。

主人公の霧ヶ峰涼はエアコンのような自らの名前を毎回ネタにして、女の子でありながら「ぼく」と呼ぶインパクトは大きく、キャラクター作りとしては一定の成功はしていそうだ。ただ、学園の探偵部モノであるからかトリックに深みはあまり無い。ちゃんと話を聞けば推理しなくても分かりそうな事が大半だ。逆に軽く読むことができる分、通勤通学中に読むにはピッタリといえよう。

笑いもありながら「え?」と思わせる展開はこの東川の真骨頂なのであろう。今後の本格ミステリーの誕生も楽しみである。

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2011年11月28日

東野圭吾 マスカレードホテル



連続殺人を追う警察から次の犯行現場はこのホテルだと告げられる。しかし、その理由は話せないと言われ
納得ができないまま捜査協力をするホテルのフロント係。いくらお客との接する機会が多いからと言っても
目つきが悪く、基本的礼儀のできない捜査官をそのまま採用はできない。そこでマンツーマンのホテル指導が
始まる。その中でさまざまなお客がやってきて対応を迫られる。

あ決して派手な作品ではないが、後から考えると良くできた作品だ。トリックなどは今の情報社会ならではのもので
誰でも犯人になりうる状況で内部犯、外部犯、またつながりのあるほかの事件が関わっているのかわからず
犯人像がまったくつかめなかった。

また、ホテルのCSに対する仕事には感動さえ覚えた。自分がどれだけのことをお客様にしてあげられるのか、
差=ビス業をしている人にとっては大変参考になるのではないだろうか。自分の社内の立場やくだらないプライドなどは
影捨てて本当に誠実にお客さんと向き合って仕事をするというのはそれだけで人を感動させる。

ただ、苦言があるとすれば、犯人に迫るところでのプロフィール作りはあまりにも突発的すぎる。もう少し、その点での
伏線があっても良いのでは?
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2011年10月25日

「大震災の後で人生について語るということ」 橘玲



大震災があり多くの人たちが家を失い、職を失い、さらに家族も失った。
筆者はかねてから何かあったときのために備えよと訴え続けていたが、実際に
耐性が無かった人たちはお年寄りだったり障害が合った人たちのように
津波警報が流れても逃げられなかった人たちだったことを目の当たりにしてずいぶん
悩んだようだ。しかし、このような出来事がこれからあらゆるところで起こりえるから、
更にその主張をし続けようと思った。


現在の勝ち組は円預金を持ち、低金利でマイホームを買い、大企業や日の丸親方の
年金をもらっているひとたちだが、これからは日本の財政問題がより深刻になり
今のギリシャのような状況になる可能性がある。それがどういうきっかけでどれだけの
インパクトがあるかはまるっきり分からないが、分かることはそうなった場合に何が
起こるかだ。金利上昇、円下落、インフレだ。今とはまったく逆の現象が起こり、
円預金をしてローンを抱えた人たちはあっという間に負け組みに陥ることになる。
また、世界市場は拡大し続けていくとすれば、世界ETFをお勧めしている。働いて稼いだ
お金を金融市場で膨らませて退職したときに備えるのが良いと説く。



ここまでは今までの主張と同じだ。彼の本を読んできた人ならばそれを更に頭に刻むだけに
とどまるかもしれない。だが、今回の本の中で彼は一歩踏み込んだ姿勢をとっている。
それは政治的な見解だ。民主主義政府はそこで働く公務員と国民から選ばれる国会議員に
よって際限なく国費が使われてしまうと指摘する。それは成長過程の国であれば誰もが豊かに
なる魔法の杖だが、成長が止まってしまいデフレになると一気にしっぺ返しがくる。
そのときに小さな政府になっていき対応できれば良いのだが、今の予算をほしがる公務員、
選挙のためにお金をとってくる地方国会議員がその既得権を話さないために国はガタガタに
なっていく。今、自らその既得権を手放さなければ日本の負の連鎖は止まらないのだ。





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2011年09月17日

マネー・ヘッタ・チャン 「マッチポンプ売りの少女」



マネー、ヘッタ、チャンの待望の第二作目だ。今回も前回と同じようにヘッテルとフエーテルの兄妹が登場して業界の裏をどんどん暴いて行く。誰もが感じた不自然な水嶋ヒロの大賞受賞、日本ユニセフが年間に運用費として寄付金から20億も経費として使っているという事実。他にも様々な事柄をあくまで寓話として書いている。

めでたくなし
めでたくなし
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2011年08月11日

カズオ イシグロ 「わたしたちが孤児だった頃」



前回読んだイシグロの本が衝撃的だったため、またまた彼の作品読んでみることにした。

クリストファーは過去を振り返る形で語る。上海からイギリスに引越して来て転入した時のこと、学校を卒業してから彼がなりたかった職、探偵、に就くまでの事を思い出しながら綴る。さらに、探偵として成功する為に格式が高いイギリス社交界デビューを果たす。彼の業績が認められだすと、彼は同じ社交界で目立つ存在であったサラに勇気を持って声を掛けに行く。

その後、サラは老齢の議員と結婚して彼がかつて暮らしていた上海に行くことになる。そして、クリストファーも彼らを追いかけるように上海に赴く。世界の混乱を鎮めるために。

彼は幼少の頃の上海で起こった事を正確に思い出そうとする。親友のアキラ、綺麗だった母親、少し弱気の父親、厳しいナニー。そして、彼が両親を失ったあの日の事も。そして、最後に両親の失踪の本当の理由と生存の有無が分かる。

ここまでがあらすじだが、実はあまり楽しい話では無くむしろ嫌な読後感が漂う。クリストファーという一人の探偵がなぜ世界の混乱を収める事を期待されるのかもよく分からない。戦場で「アキラ」に会うがこの辺のシーンは戦争がいかに異常かを物語る以外に意味を成していない。最前線にいる兵隊の「アキラ」とクリストファーは何語で会話していたのだろうか?おじさんの告白はヘドが出るくらいに嫌悪感でいっぱいになった。さらに、最後にあれ程探していた母親になぜもっとじぶんの存在を知らせなかったのか?疑問ばかりが残る。

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2011年07月16日

貫井徳郎 乱反射



人間、まぁいいかとちょっとした事を見逃す事が良くある。しかし、そのようなちょっとした不注意や怠慢が積もり積もると大事故に発展するかもしれない。この本は見事にそれを表したものと言える。

話は旅行前に捨てられない生ゴミを途中のサービスエリアに捨てたところから始まる。自分の行為を正当化して、いけない事だとわかっていながら、これっきりだし残して置くと家が臭くなるから仕方が無いことだと納得してしまうのだ。

そしてついに、事故が起きてしまう。皆がみな少しずつ悪いのだが誰一人として自らの行為が直接的に影響したとは思えなく、頑なに謝罪を拒否する。

まあいいか、と思う気持ちを抑えてキッチリ仕事をしよう、そう思うのだった。

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2011年05月22日

ブスの壁 高須克弥



テレビCMで有名な高須クリニックの高須先生が書いたこの本がiPhone で無料になっていたから読んで見た。まず、電子書籍は個人的に嫌いじゃない。よく見る本は限られているから、その他は邪魔にならないように電子保存しておいたほうが見つけやすい。だけども、pdf保存はいただけない。

まず、pdfだと、デバイスを選ぶのだ。普通に読もうとしてもiPhone だと文字が小さすぎるケースが多い。本を読む時はスラスラとリズム良く読みたいもの。いちいち拡大、スクロールを繰り返していたら面白くない。

雑誌などはイラストや写真などではレイアウトもあるだろうから良いとしても、本はもっといい形で出して!一旦、自分の好きなフォントの大きさや行間などを決めたら、保存されて最後まで快適に読みたいものだ。

よって、このブスの壁も極小文字で頑張ってさいごまで読み切った。所々、漢字が潰れて読みづらい箇所もあったが推測して読み進めたのだ。

作品自体はとても興味深く大変面白かった。最先端の美容技術を自ら行って、六十なのに見た目は三十らしい。そんな人の本が面白くないはずがない。

実際、色んな美容業界の団体に入っていてその存在感を発揮しているようだ。気になるのは、彼の原動力となっているのか、劣等感のようなところを滲ませる自虐的なコメントが多いところだ。外科は内科医療と比べると外道であり、美容医療は更に外れていると思われているらしい。しかし、高須先生はそういった常識や枠組みからかなり次元の超えたところに到達した人である。美容医療の世界的な発展に尽力し、極めた第一人者だ。そのような人が「ブスであるほうがいい」といっているのは、凡人では理解不能な領域まで達している証拠なのかもしれない。

posted by イイヨイ at 23:37| 東京 曇り| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月15日

東野圭吾 麒麟の翼



新参者で新境地を切り開いた東野はその続編が期待されていた。まさにこの作品がそれになる。あっと言わせる鋭いトリック、複数の伏線を張り巡らし、それでも裏の裏を突いてくる、そのような若さ溢れる情熱はもはやもう無い。しかし、人情と人柄が如実に表現されてきている。年の功だろうか。

さて、この作品、またしても舞台は日本橋界隈。日本橋にあるその名も日本橋の真ん中で人が刺されている状態で死亡した。しかし、実際に刺されたのは別の場所で自ら歩いて橋の真ん中まで来たようだ。

一見、単純な動機による殺人事件と思われていたが、どんどん加賀の捜査が別方向へ向かう。

読んだ後の感想としては
誤魔化しながら生きるな!そういった強いメッセージが聞こえて来た。子供はいないが教育に関しての高い参加意識を感じた。なお、自炊業者に対して電子化反対である声明もしている。
posted by イイヨイ at 23:44| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月26日

岩崎夏海 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら




親友が病気で入院したために急遽、野球部のマネージャーになったみなみはマネージャーの役割を知る為にドラッガーのマネジャーの本を購入する。そして、目的の甲子園出場のために奔走する話だ。

正直、文章はうまくなく、プロットもあまりにもベタな展開でほぼ予想通りなのだが、それでも読みやすくマネージメントと野球の要素を取り入れている為どんどんページが進んでいった。

驚いた事に、このありきたりで使い古されたこの手の物語に感動したのだ。元来、スポーツ好きで、もがき苦しんでいる選手がいると自然と応援してしまう性格であるからこの手の展開には弱いのだが。

ただ、親友にある事が起きた後のみなみの豹変は不自然さが残る。決勝を控えた選手みんなに対してあのような態度を取るだろうか?この点、映画でどう修正してくるか楽しみである。




posted by イイヨイ at 15:43| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年02月15日

フリー 無料からお金を生み出す新戦略 クリス アンダーソン



ネット社会になってから、あらゆるものが無料になって来た。ネットの会員登録などは何も書いていなければ無料は当たり前。だから、ヤフーもグーグルもメールも含めて無料で利用できる。mixiのようなSNS、Flickr、YouTube、Dropboxのようなストアレッジまでも当然のように無料で利用している。

では、それらの企業はどの様にして儲けているのか。そのまえに歴史的に会社の無料化戦略を紐解いてみる。

まず、ジレットは本体を配って、替え刃を買ってもらったようだ。通信会社は携帯を配って、通話料で稼いだ。それから、流行ったのは広告だ。広告を見ると、公衆電話の通話料が5分無料、というのがあったし、指定の広告付きブラウザを使うとネット接続が無料というのがあった。

しかし、現在の流行りは同じモノでも機能が多いプレミアムバージョンを有料にして、無料分をカバーしている。昔から、シェアウェアはその様な形が多かった。何故なら、デジタルコンテンツの複製コストはゼロに近づき、販売コストがかからないからだ。

著者はこれこそが主流となって行くという。音楽を無料で配信して、CDは音質が良いプレミアム商品と位置付けて売り、コンサートや関連グッツなどから収益を得るようになると。

出版社、CD作成会社、レンタルビデオ、本屋のようなデジタルコンテンツの配信とかぶる業界は今のままでは生き残れないかもしれない。現に、ブロックバスターの倒産、ボーダーズの経営悪化、TSUTAYAのMBOなどがその影響と言えよう。
posted by イイヨイ at 23:51| 東京 晴れ| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする